毎年冬になると、「せっかく予防接種を受けたのにインフルエンザにかかってしまった…」という声をよく耳にします。

SNSなどでも「打ってもかかるなら意味がないのでは?」という意見を見かけることがありますよね。

たしかに、ワクチンを打っていてもインフルエンザにかかる方はいらっしゃいます。しかし、「かかること=ワクチンに効果がない」というわけではありません。

今回は、インフルエンザワクチンの本当の役割と効果について、分かりやすくお話しします。

 

1. 「打つ人」も「かかる人」も、もともとすごく多い

日本では毎年、約2,000万本以上のインフルエンザワクチンが使われ、同じシーズンに1,000万人以上の方がインフルエンザと診断されています。

つまり、「ワクチンを打つ人」も「感染する人」も、どちらも非常に大きな人数なのです。打つ人の数が非常に多いので、「打ったのにかかった人」がたくさんいる、というのは自然な現象であり、これだけを見て「効かない」と結論づけることはできません。

 

2. ワクチンの「有効率」の正しい意味

インフルエンザワクチンの効果としてよく耳にする「有効率40〜60%」という数字。これは「打った人の40〜60%は絶対にかからない」という意味ではありません。

正しくは、「打たなかった人に比べて、発病する人の割合を40〜60%減らせる」という意味です。

具体的に「有効率50%」の場合なら、

  • 打たなかった人: 10人に1人が発病する時に、

  • 打った人: 20人に1人が発病する、 ということを意味します。

ゼロにはできなくても、感染・発病する確率はしっかり下げることができます。

 

※有効率はその年に流行するウイルスの「型」とワクチンの予測がどれくらい一致したかによって変動します。子どもを対象とした調査では、型が合えば50%以上の予防効果を発揮しますが、少しずれると20〜30%程度にとどまる年もあります。

 

3. 本当に大切なのは「重症化を防ぐ」こと

実は、予防接種の一番の役目は「絶対にかからないようにする」ことではなく、「かかっても重くさせない」ことにあります。

高齢者施設での調査では、発病を防ぐ効果は34〜55%程度だったのに対し、死亡を防ぐ効果は82%と高い結果が出ています。

また、6歳未満のお子さんでも発病予防効果は約60%と報告されています。

実際、地域のワクチン接種率が下がった年ほど、インフルエンザによる入院患者数が増える傾向があります。

 

  • 小さなお子さん

  • ご高齢の方

  • 持病をお持ちの方

上記の方は、こじらせると肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。「重症化を防ぎ、命や健康を守る」という意味で、ワクチンの果たす役割は非常に大きいのです。

 

4. なぜ毎年打つ必要があるの?

インフルエンザウイルスは、少しずつ形を変えながら毎年流行します。そのため、去年のワクチンが今年も効くとは限りません。

流行株の予測が少し外れると有効率は下がってしまいますが、それでも接種しておくことで以下のメリットが得られます。

 

  • 発熱の期間や症状の重さを抑える

  • 周りの人(ご家族や学校のお友達)へうつすリスクを減らす

特にお子さんは集団生活で感染を広げるきっかけになりやすいため、周囲を守るためにも接種のご検討をおすすめします。

 

まとめ:リスクを少しでも下げるための備えとして

「ワクチンを打ってもかかることがある」のは事実です。ですが、だから意味がないのではなく、重症化を防ぎ、辛い症状を和らげるためにしっかりと役立っています。

100%防げる魔法の注射ではありませんが、「大切な体と家族を守るための備え」として、ぜひ予防接種を活用していただければと思います。

 

接種に最適なタイミングや、持病がある場合のご不安など、気になることがございましたら診察の際にお気軽にご相談ください。