そろそろ保育園や幼稚園、学校での「プール開き」の季節です。
子供たちが大好きなプールの時間ですが、この時期になると保護者の方からよくいただくのが、こんなご質問です。
「うちの子に『みずいぼ』があるんですけど、プールは休ませないといけないんでしょうか……?」
実は「みずいぼがあるとプール禁止」というルールを設けている園や学校は少なくありません。
しかし、日本小児科学会や日本皮膚科学会などの医学的なガイドラインでは、「プールを禁止する必要はない」とされています。
今回は、なぜ禁止しなくてよいのか、その理由となる「感染経路」と「プール制限のメリット・デメリット」について、解説します。
1. みずいぼはプールの「水」ではうつりません
みずいぼ(正式名:伝染性軟属腫)はウイルスによる皮膚の感染症ですが、実はその感染力は決して強くありません。
水の中ではうつらない:ウイルスがプールの水を介して他の子に感染することはありません。
主な原因は「直接の接触」:みずいぼの中にある白い芯(ウイルスのかたまり)が、他の子の皮膚に直接触れることでうつります。
「物」を介した間接的な接触:タオルの貸し借り、ビート板や浮き輪を共用することで感染することはあります。
つまり、注意すべきは「水」ではなく、「肌と肌、または物が擦れ合うこと」なのです。
2. プールを禁止・制限することのメリットとデメリット
では、園や学校でプールを制限することには、どのような意味があるのでしょうか。
⭐️制限することのメリット
水着姿の子供たちは肌の露出が多いため、プールサイドなどで肌同士が触れ合う確率が少し増えます。プールをお休みすれば、その間の「直接接触のリスク」を減らせる、という意味ではメリットがあるかもしれません。
⭐️制限することのデメリット
長期間、発育の機会を奪ってしまう
みずいぼは自然に治るまでに、数カ月から長いと1〜2年かかることがあります。その間ずっとプールを禁止されることは、子供にとって夏の大きな楽しみや、体力作りの機会を長期間失うという大きな不利益になります。
医学的な根拠(エビデンス)が薄い
実は、プールを禁止しても、着替えや昼寝、遊びなど日常の園生活でうつる可能性が十分にあるため、「プールを禁止したからといって、園内の流行を抑えられるわけではない」というデータがあります。
子供の心の傷になるリスク
「あの子はみずいぼがあるからプールに入れない」といった、不要な区別や孤立感を子供に与えてしまう恐れがあります。
3. クリニックからの提案:『正しく対策して、みんなで入ろう』
現在の小児医療では、「完全に禁止する」のではなく、「適切な対策をしてプールを楽しむ」という考え方がスタンダードです。
ご家庭と園で協力して、ぜひ以下の対策を取り入れてみてください。
ラッシュガードや防水テープを活用する
みずいぼがある部分を水着やラッシュガードで覆ったり、市販の防水絆創膏(フィルム)を貼ったりして、「他人の肌に直接触れない状態」にすれば、プールに入っても全く問題ありません。
タオルの共用は避ける
これが最も大切な予防策です。ビート板や浮き輪も、使い回さないか、使用後にシャワーでしっかり洗い流すようにしましょう。
プール後のシャワーと、日頃のスキンケア
プールから上がったら、水道水で体をしっかり洗い流します。また、肌が乾燥しているとウイルスが侵入しやすくなります。日頃から保湿剤で肌のバリア機能を整えておくことが、最大のみずいぼ予防になります。
まとめ
みずいぼは良性の病気であり、体のなかに免疫ができれば、いずれ必ず自然に治ります。
周囲へのちょっとした配慮(患部を隠す、タオルを分ける)を心がければ、集団行動を過度に制限する必要はありません。
子供たちが大好きな夏の活動を思いっきり楽しめるよう、正しい知識を持って見守ってあげたいですね。
