🏥 学校給食対応:お子さまの食物アレルギー対策と最新の知見

令和8年度から宇治市でも中学校の学校給食が開始されるにあたり、食物アレルギーの対応について学校現場での注意点の整理が重要となっています

先日地元の中学校で食物アレルギーに関連した講演をする機会を頂きました。

今回は、お子さまの食物アレルギーについて、講演の内容をもとに、診断・予防・緊急時対応の最新の知見と、学校生活で大切なポイントをまとめてみました。

 

🚨 症状と緊急時対応:アナフィラキシーを知る

食物アレルギーは、IgEなどの免疫学的機序により、食後に皮膚、粘膜、呼吸器、消化器などに症状が出現するものです 。代表的な症状には蕁麻疹、咳、腹痛などがあります

  • アナフィラキシー:2臓器以上に症状が出た場合を指します 。 

  • アナフィラキシーショック:アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う、特に重篤な状態です 。 

  • 学校での対応:呼吸困難や顔色悪化など重症が疑われる場合は、迷わずエピペンを使用し、救急車を手配して受診することが重要です 。エピペンの効果は短時間のため、使用後は必ず救急搬送が必要です

     

🚨 診断の進め方と除去の最小化

アレルギーの診断は、詳細な問診と血液検査(特異的IgE)や皮膚プリックテストの結果が合致した場合に行われます

  • 検査結果のみでの除去は誤り:臨床症状が伴わない検査陽性のみでは食物アレルギーとは診断されません 。 

  • 不必要な除去を避ける:医師と相談し、食べられる範囲で積極的に摂取を続け(例:安全摂取量を毎日継続し、段階的に増量)、除去を最小化することが治療方針の基本です 。卵殻カルシウムや乳糖、醤油、麦茶などは一般に摂取可能な場合が多く、個別確認のうえ不必要な除去を避けます 。 

👶 予防と予後:早期摂取と湿疹管理が鍵

食物アレルギーの有病率は年齢とともに低下しますが、ピーナッツや木の実類は耐性獲得の割合が低い傾向にあります

 
  • 予防の最新知見:乳児期の摂取を遅らせても予防効果はありません 。むしろ、生後4〜5ヶ月頃から少量の十分に加熱した卵などを導入することで発症が少ない傾向が示唆されています

      
  • 湿疹の適切な管理:離乳食開始前から湿疹をしっかり抑えることが強く推奨されます 。皮膚からアレルゲンが曝露されるとアレルギーを誘発する(経皮感作)リスクがあるためです

     
  • 母親の食事制限は不要:妊娠・授乳期の母親の食事制限は、子のアレルギー発症に関与しないことがわかっています

     

当院では、お子さま一人ひとりの安全な学校生活のために、食物アレルギーの正確な診断と、食べられるものを増やしていくための積極的な治療(除去の最小化と継続摂取計画)をサポートしています。学校との連携(安全摂取量の共有、緊急時対応)も重視していますので、ご不安な点があればご相談ください

 
 
 

お子さまの食物アレルギーや湿疹の管理について、より詳しい情報が必要な場合は、お気軽にご来院ください。